毎年ハロウィンの夜は、街中はカラフルなコスチュームを身にまとった
子供たちや大人たちで賑わい、仮装パーティーやトリック・オア・トリートの声が響き渡る。
だが、その一方で、なぜか不気味な雰囲気が漂う場所もあった。
そこは、かつて住民たちが恐れていたと言われる廃屋だった。
興味本位で廃屋に入った若者グループ
その廃屋は、町の外れに位置し、長い間誰も住んでいないため、
周囲の木々に覆われ、薄暗い影を落としていた。
語り草として残るこの家には、かつて家族が住んでいたが、
ある晩、謎の失踪事件が起きたという。
以来、その家は「呪われた家」として恐れられ近づく者はいなかった。
しかしハロウィンの夜、若者たちの間でその家への探検が話題になり、
数名のグループが肝試しに行くことを決めた。
不気味な静寂に包まれる廃屋内
グループは、夜の帳が下りた頃に廃屋へと足を運んだ。
懐中電灯の明かりを頼りに、彼らは家の中に入っていく。
中は薄暗く、壁にはカビが生え、家具は壊れ、
まるで時が止まったかのようだった。
彼らは最初こそ冗談を言い合いながら進んでいたが、
次第に不気味な静けさに包まれ、心の中に不安が広がっていく。
そして屋内を歩き回るうちに、彼らは奇妙な音を耳にするようになった。
最初は風の音だと思ったが、何かがかすかに囁いているような、
または誰かが叫んでいるような音が混じっていた。
助けて…
グループの一人が「誰かいるのか?」と叫ぶと、
その声に答えるかのように、廃屋の奥から「助けて…」という響きが返ってきた。
その瞬間、彼らは恐怖で凍りついた。
何も見えない暗闇の中、彼らはお互いの顔を見合わせ恐る恐る奥へ進むことにした。
部屋の中心に置かれた鏡
懐中電灯の光が揺れる中、彼らは古びた階段を登り、2階の部屋へと入った。
そこには家具がひっくり返り、窓が割れている状態だったが、
何よりも異様だったのは、部屋の中心に置かれた古い鏡だった。
その鏡は、まるで何かを映し出すかのように輝いていた。
興味を持ったグループの一人が近づいてその鏡を覗き込むと、
彼は驚愕の表情を浮かべて後ずさりした。
「何か映っている…」と彼は言った。ほかのメンバーも次々に鏡の前に立ち、
彼らが見たものは、かつてこの家に住んでいた家族と思われる姿だった。
彼らは楽しそうに笑い合っているが、その表情はどこか狂気じみていた。
その瞬間、周囲の温度が急激に下がり、グループは恐怖に包まれた。
鏡の中の家族が徐々にこちらを向き、彼らの目が異様に輝き始めた。
次々に襲いかかる恐怖
「帰れ…」という声が再び聞こえ、今度ははっきりとした声で響いた。
彼らは恐怖に耐えきれず、一斉にその場を離れようとしたが、
出口の方向が分からなくなっていた。
混乱の中で彼らは必死に出口を探し、廊下を駆け抜けるが、
まるで廃屋が彼らを捕らえようとしているかのように道が次々に変わっていく。
ついに、一人がパニックに陥り、壁にぶつかってしまった。
その瞬間、壁から何かが飛び出し、彼を掴もうとした。
彼らは一丸となってその場を離れ、ようやく外に出ることができた。
外に出た彼らは、息を切らしながら振り返ると廃屋は静まり返っていた。
何事もなかったかのように、ただその姿を見せていた。
家族の姿や、囁き声は、すべて幻だったのか。
後日判明した驚愕の事実
次の日、彼らの一人が廃屋の前を通りかかると、
そこには「立入禁止」の看板が立てられていた。
昨晩は暗かったので見落としていたようだった。
この廃屋について詳しい町の住民に話を聞くことができた。
どうやらここに住んでいた家族は失踪したのではなく、
あるハロウィンの夜、この家族を逆恨みしたある男に殺され、
その後その男もここで自殺したということだった。
それ以来、この廃屋ではポルターガイスト現象が頻繁に起こるようになったため、
町の人々は、その家を恐れ近づかなくなることにしたのだった。