魔界からのクリスマスプレゼント

魔界からのクリスマスプレゼント

ある晩、深夜の時刻。寒い冬の夜に、私は一人部屋で過ごしていた。クリスマスの季節だからか、外の街は華やかなイルミネーションに彩られ、人々の笑い声が響いていた。しかし、私の部屋にはその喧騒や楽しさの一つも届かない。なぜなら、私はあの世からのクリスマスプレゼントを受け取ったからだ。

もくじ

突然言い渡された恐怖の宣告

数日前、私は知り合いの霊能者に呼ばれ、彼女から驚くべき話を聞かされた。彼女によれば、私の家には何か邪悪な存在が潜んでおり、その存在が私に憑りついているというのだ。さらに、その存在は私にとって身近な人の姿を借りて現れ、恐怖を与えるとも言われた。

最初は信じることができなかった。私の周りには誰もいないし、何かが存在するなんてありえないと思っていた。しかし、その夜から私の身に起こる奇妙な出来事が増えていった。

静かに、ただ確実に忍び寄る邪悪な気配

最初の出来事は、部屋の中で聞こえる奇妙な音だった。誰かがゆっくりと歩く足音が、私の耳に響いた。しかし、部屋を見渡しても誰もいない。次に、突然部屋の中が寒くなり、私の肌には何か冷たいものが触れた気がした。恐怖心が押し寄せる中、私は霊能者の言葉を思い出し、その存在が私に憑りついているのだと確信した。

それから数日が経ち、クリスマスの夜がやってきた。外の街は明るく輝き、人々は家族や友人と楽しく過ごしていることだろう。しかし、私の心には不安と恐怖が充満していた。

届けられた魔界からのクリスマスプレゼント

私は一人で部屋に閉じこもり、何か対策を考えようとしていた。すると、突然部屋の中に強烈な匂いが立ち込めた。それは腐敗したような臭いで、私の鼻を刺激した。恐怖に身を震わせながら、私は部屋を探し始めた。すると、壁の隅にひっそりと置かれた小さな箱が目に入った。

私は戸惑いながらも、その箱を手に取り開けてみた。中からは黒い煙が立ち上り、その中から現れたのは私の亡くなった祖母だった。しかし、彼女の姿は生前とは違い、顔は歪み、目は血走っていた。

「孫よ、久しぶりだね・・・」と彼女は冷たく語りかけた。私は言葉に詰まり、声を出すことができなかった。

彼女はゆっくりと近づき、私の耳元でささやいた。「私はあなたを見守っている。だから、クリスマスの夜にあなたにプレゼントをあげるわ」そう言って彼女はオルゴールを取り出し、ネジを巻き音を鳴らし始めた。
そのメロディーは、この世のものとは思えない、おどろおどろしく恐ろしい旋律だった。

その言葉と共に、彼女の手が私の首に触れた。恐怖が頭から体中に広がり、息苦しさに襲われた。私は必死に彼女の手を払いのけようとしたが、彼女の力は私の身体を支配していた。

「あなたはずっと私と一緒にいるのよ」と彼女は冷笑した。

その瞬間、私の意識は遠のき、暗闇に包まれた。私はもう二度とこの世に戻ることはないだろう。

死を呼ぶ呪いのオルゴール

そのオルゴールこそが、あの世からのクリスマスプレゼントだったのだ。私はこの世とあの世の境目で、永遠に苦しみ続ける運命に堕ちたのだと思うと、恐怖が私の心を支配した。
私の存在はもはやこの世にはない。私が受け取ったクリスマスプレゼントは、絶望と永遠の孤独だったのだ。

死からの生還

なぜ、こんなことになったのだろう。。。そんな感情が渦巻き、闇に体中を包まれそうになった次の瞬間、一筋の光が私の前に現れ、その邪悪な死のメロディーをかき消してくれたのだった。そして、私の部屋には再び静寂が訪れた。外からは人々の楽しげなクリスマスを祝う歌声が聞こえ始めた。
ふと目を開けると、微笑む知り合いの霊媒師の姿がそこにはあった。「間に合って良かった。」
私を心配して家に訪ねてくれたらしい。その時にただならぬ邪悪な気配を察知し、苦しめられ死の間際にいた私を蘇生の言霊で救ってくれたのだ。

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