鳴るはずのないナースコール

鳴るはずのないナースコール

ある夜、静かな病院の廊下にナースコールの音が鳴り響いた。
その音は、通常の病院では聞かれることのない不気味な響きを持ち、
周囲の空気を一瞬にして変えてしまった。

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鳴るはずのないナースコール

看護師たちは驚き、思わず顔を見合わせた。誰もいないはずの病室からの音に不安が募る。
意を決した彼女たちは、恐る恐る病室へ向かうことにした。

扉を開けると、薄暗い室内には誰もおらず静寂が支配していた。
しかし、ナースコールのボタンだけが勝手に点滅していた。

看護師の一人が恐る恐るその近くに近づき思わずボタンを押してみた。
その瞬間、彼女の耳元に低い声がささやいた。

「私を助けて……」その声は、まるで冷たい風のように彼女の心に忍び込み、
そこにいた全ての看護師の表情が凍りついた。

それは死者からの悲痛な叫びだった

その場にいた全員が何が起こったのか理解できず、ただ恐怖に押しつぶされそうになっていた。
彼女たちはすぐにその病室を離れ、すぐに院内の管理者に報告を行った。

管理者はすぐに調査を開始した結果、数年前にその病室で亡くなった患者の存在が明らかになった。
この患者は、長い苦しみの末に誰にも助けを求められずに命を落としたと言われていた。

ナースコールの音は、まるで彼女の魂が再び助けを求めているかのように響いていたのだ。
その発見は病院内に衝撃を与え、看護師たちの間には恐怖が広がった。

助けを求める魂の部屋

結局、病院はその病室を封鎖し、誰も近づくことができなくなった。
しかし、時折ナースコールの音が響くという噂は消えず、病院には不気味な伝説が生まれることとなった。

その伝説は、病院に勤務する者たちの間で語り継がれ、
夜勤を担当する看護師たちは、必ずその病室の前を通る時に足早に通り過ぎるようになった。

患者たちもまた、その病院に潜む不気味な噂を耳にし、夜の病室の静けさに怯えることが多くなった。
やがて、その病室は「助けを求める魂の部屋」と呼ばれるようになり、誰もがその存在を恐れるようになった。

その病室は開かずの間に

病院の管理者は、患者やスタッフの安全のために、
定期的にその病室の点検を行っていたが、決してドアを開けることはなかった。

彼女たちが感じた恐怖は、単なる噂や幻想ではなく、
実際に何かがそこに存在していることを示唆しているかのようだった。

そして、時折その病室から聞こえるナースコールの音は、
悲痛な思いを誰かに伝えたくてたまらない魂の叫びのように思えた。

病院はその後も静かに運営され続けたが、
その病室からは、永遠に助けを求める音が響き続けるのかもしれない。

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